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経審解体新書その7~(Y点)x4売上高経常利益率

経審P点におけるY点x4売上高経常利益率の位置づけ

 経審P点総合評定値の中で経営状況分析Y点は20%の比率を占めます。

このY点(20%)とその他社会性W点(15%)は中小建設会社にとって特に影響を受けやすく、優先的に取り組むのがベターだということを経審解体新書その3 ~経営状況分析 Y点について~ でも述べさせていただいております。

経営状況分析Y点は今回のx4売上高経常利益率を初め、ほとんどの評価指標が数字のボリュームではなく比率(や期間)で評価されますので、大企業であれ中小零細企業であれ同じ土俵で戦えますし、中小建設会社の間でも大きく差が付いていきますので、内容を理解して積極的に改善に取り組んでいただければ幸いです。

x4売上高経常利益率は経営状況分析Y点に対する影響度は3.5%と加点幅の小さい評価指標です。

会社の経常的な活動で得られた収益(売上)から、どれだけ経常的な利益を獲得できているかを評価する指標になります。

この指標の数値が大きいほど効率的に利益を出していますねという具合に高評価になります。


イメージ確認のためY点の算出式を再掲しますが(覚えたりする必要は全くありません)、

経営状況分析Y点167.3×+583

=-0.4650×x1 -0.0508×x2 +0.0264×x3 +0.0277×x4+0.0011×x5 +0.0089×x6 +0.0818×x7 +0.0172×x8 + 0.1906

x4売上高経常利益率の傾き、変化率は+0.0277×167.3+4.63421です。

x4売上高経常利益率の上限値は5.1 下限値は-8.5なので、Y点に対する傾き、変化率+4.63421と掛け算すると、Y点換算で上限値23.63447~下限値-39.39078、上限値から下限値までの評点幅は63.02525となり、Y点8指標それぞれの評点幅総合計(1801.7812)の3.5%を占めるに留まります。


評点幅の0%~100%の中で、自社が現時点で何%の割合に到達しているのかを表す「得点率」が現在どこにあるのかにもよりますが、得点率が100%から離れていればいるほど改善の余地がありますし、Y点にインパクトを与えることのできる可能性があるというわけです。

そして、こちらの記事では、経審の経営状況分析(Y点)x4売上高経常利益率について解説する流れで、関連する知っておいて損のない財務知識等についてもお役立ち情報としてご紹介させていただきます。

経審Y点x4売上高経常利益率 改善メソッド

x4売上高経常利益率経常利益/売上高×100 の式で計算されます。

Y点に換算するには、変化率4.63421とx4売上高経常利益率を掛け算します。

変化率、傾きがプラスなので、x4売上高経常利益率は数字が大きいほど評価が上がります。
 

経常利益を意識する!

 x4売上高経常利益率は、前記事x3総資本売上総利益率と同じで会社の収益性を評価する指標なのですが、Y点への影響も小さいですしこの評価指標(x4)をスルーしてしまう会社さんもよく見受けられるところになります。

とはいえ、自社の得点率が低い状態にあるのなら経常利益の改善を試みて少しでも経審評点のアップに繋がれば良いですし、また、経審関係なくとも経営者目線として、経常利益(収益力)に拘った経営を意識する機会になればしめたものですよね。

それでは、x4売上高経常利益率の計算式の分子、経常利益についてみていきましょう。

経常利益は臨時的な損益(特別損益)を計上する前の利益で、企業の収益力を最も端的に表します。

損益計算書の仕組みとして上から、

売上高(完成工事高)―売上原価(完成工事原価)=売上総利益(完成工事総利益)

売上総利益(完成工事総利益)―販売費及び一般管理費=営業利益

営業利益+営業外収益―営業外費用=経常利益

経常利益を大きくしていくためには、「売上原価・販管費・営業外費用」を減らしていくことが大事ですし、「売上原価・販管費・営業外費用」それぞれを売上高で割って算出した比率についても意識していきましょう。

どう意識していくのかといいますと、自社の数年間の推移等を把握しその傾向を掴んだり、業界平均や競合会社、ベンチマークとする会社等の数値から目標を設定したり何らかの対策を打つ目安にします。


まずは売上原価(完成工事原価)を減らしていくには、材料費・労務費・外注費・その他経費それぞれの内容を個別に検討し、例えば外注費については縁故関係等で協力業者などに惰性で発注するのではなく、ある程度緊張感を持った関係性の構築も時には必要になってくることでしょう。

費用として減らしていくことも大事ですが、(売上ー売上原価=)売上総利益は成長の源泉ですし、時にはここから積極的に販管費の内容である人材採用、広告宣伝などに再投資して利益アップに繋げていくという前向きなマインドも経営者は持ちたいものですね。

とある有名企業CFO(最高財務責任者)のインタビュー記事に出ていましたが、人件費をコストとして見るのではなくて利益を生み出してくれる投資と捉えていると。

実際にその会社では人件費を10%上げることによってその後5年間のいくつかの財務指標が改善されたということでした。

他にも、女性管理職比率を10%増やしたところ同じように改善傾向がみられたと報告されていました。

最近、人的資本経営はホットトピックで、人件費などヒトに関わる何かしらの数字を加工して、内外の利害関係者に工夫して伝えることを目にする機会が増えてきています。

人件費はコストではなく投資、とみなして先進的な企業が業績を上げていく姿はとても励みになりますよね!

話を元に戻して、販管費はその内訳から自社に重要な科目、例えば人件費(給料手当など)や広告宣伝費、接待交際費などをセレクトし売上高で割ってその比率を個別に算出してライバル会社や業界平均等と比べてみると新たな発見があるかもしれません。
 

最後に、営業外費用は主に支払利息です。
金融機関からの借入額、利率などの借入条件の良し悪しが影響してきます。

経審の仕組み上はできるだけ決算日時点で借入総額が小さくなるような借入返済スケジュール、そして、日頃から金融機関と信頼関係を構築しておきたいものですね。

あとは、できるだけ低い利率で融資を受けるためにも、財務内容を良くしていくしかないように思います。
 

損益計算書の構造上x4売上高経常利益率の経常利益にたどり着くまでに、売上高総利益率、売上高人件費率等(販管費関係)、売上高営業利益率などいくつか経由地がありますが、自社のビジネスにとって大事な指標をセレクトし分析することをお勧めします。

また、x3総資本売上総利益率の記事でも解説しましたが、x3総資本売上総利益率よりも総資本経常利益率の方が一般的によく活用されているというお話しをしました。

x3総資本売上総利益率(売上総利益/総資本)の展開式=
売上高総利益率(売上総利益/売上高)×総資産回転率(売上高/総資産)よりも、

総資本経常利益率(経常利益/総資本)の展開式=
x4売上高経常利益率(経常利益/売上高)×総資産回転率(売上高/総資産)の方が市民権を得ているわけです。

なので、経審においても一般的な財務分析との比較しやすさも鑑みて、x3総資本売上総利益率とx4売上高経常利益率に替えて、総資本経常利益率と売上高総利益率を採用する方が良いのではないのかなと個人的には思っております。
(経審の評点の仕組みはとても複雑で、私には至らない様な細部にまで考えを巡らせてのものだと思います。)

経審Y点 x4売上高経常利益率をもう一歩

 売上高経常利益率=経常利益/売上高×100

分子の経常利益は本業を含めた経常的に行う継続的な活動から得た利益になります。

営業活動だけでなく財務活動である営業外収支の中でも特に支払利息に着目した企業の経常的活動における収益性を評価しようというシンプルな自社の強みを表す重要指標です。

P/L(損益計算書)のみから算出される指標なので分かりやすいというメリットはありますし、利益率の高い低いを検討できる意味はもちろんありますが、片方の側面からしか読み取れないのも確かであり、投資家等を軽視する可能性には扱いに注意しましょう。

B/S(貸借対照表)を考慮しないことから、その分シンプルで直感的に分かりやすい評価指標であるとはいえますよね。

経審の場合は、x3総資本売上総利益率などB/S要素も絡めてあらゆる角度から総合的に評価されていますので、いま挙げたx4売上高経常利益率単体で評価することの弱み、欠点は充分に補われているというわけです。

また、経審x4売上高経常利益率の利益には経常利益が使われていますが、利益にもいくつかの選択肢があります。

経審から離れて経営計画策定時など、分子にどの利益を使うことが自社の戦略や良さを伝えやすいのか検討してみましょう。

一般的には売上高営業利益率を使うことが多いですね。
営業利益は本業で稼いだ利益を端的に表します。

前記事x3総資本売上総利益率でもお伝えしましたが、特に設備投資、有形固定資産(または無形固定資産)の占める割合が大きい会社さんは、減価償却費の影響を受けてしまう営業利益率よりもEBITDAマージンを使用することも選択肢に入れましょう。


※経営状況分析Y点の8指標もそうですし、経審P点総合評定値のX1・X2・Z・W点もそうですが、各評価指標は他の評価指標と互いに影響を与え合うことがありますので、1指標だけでなくP点総合評定値全体でどういう結論になるのか意識しながら各評価指標の対応を検討していきましょう。

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