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経審解体新書その5(Y点)x2負債回転期間について

経審P点総合評定値における(Y点)x2負債回転期間の位置づけ

 経審P点総合評定値の中で経営状況分析Y点は20%の比率を占めます。


このY点(20%)とその他社会性W点(15%)は中小建設会社にとって特に影響を受けやすく、優先的に取り組むのがベターだということをこれまでにも何度か述べさせていただいております。


経営状況分析Y点は今回の記事「x 2負債回転期間について」を初め、ほとんどの評価指標が数字のボリュームではなく比率で評価されますので、大企業であれ中小零細企業であれ同じ土俵で戦えますし、中小建設会社の間でも大きく差が付いていきますので、内容を理解して積極的に改善に取り組んでいただければと思っております。


x 2負債回転期間は経営状況分析Y点に対する影響度は8.1%あり、中小建設会社にとって重要な評価指標の1つです。


イメージ確認のためY点の算出式を再掲しますが(覚えたりする必要は全くありません)、


経営状況分析Y点=167.3×+583


=-0.4650×x1 -0.0508×x2 +0.0264×x3 +0.0277×x4+0.0011×x5 +0.0089×x6 +0.0818×x7 +0.0172×x8 + 0.1906


x 2負債回転期間の傾き、変化率は-0.0508×167.3=-8.49884です。


数字の前にマイナスが付いていますので数字が小さいほど評価が高くなる指標で、x 2負債回転期間が大きくなってしまうと大幅にY点が減点される可能性もあると理解しておいてください。


x 2負債回転期間の上限値は0.9 下限値は18.0なので、Y点に対する傾き、変化率-8.49884を掛けると、Y点換算で上限値-7.64896 下限値-152.97912 上限値から下限値までの評点幅は145.33016となり、Y点8指標それぞれの評点幅総合計の8.1%を占めるということでした。


評点幅の中で最低点0%~最高点100%まで、自社が現時点で何%の割合に到達しているのかを表す「得点率」が現在どこにあるのかにもよりますが、得点率が100%から離れていればいるほど改善の余地は大きく、Y点にインパクトを大きく与えることのできる可能性があるということになります。
 

x2負債回転期間 短期的改善メソッド

 x 2負債回転期間=(流動負債+固定負債)/月商(年間売上高÷12) の式で計算されます。

Y点に換算するには、変化率 -8.49884とx 2負債回転期間を掛け算します。

変化率、傾きがマイナスなので、x 2負債回転期間は数字が小さいほど評価が上がるということでした。


できるだけx 2負債回転期間の数字を小さくするには、分母の売上高を大きく、そして、分子の負債総額(=流動負債+固定負債)は小さくなるようにしなければなりません。


負債総額(=流動負債+固定負債)について、もう少し具体的にみていきましょう。


(勘定式)貸借対照表の右側は他人資本(負債総額)と自己資本から構成され、いずれも資金の調達源泉(どこから、だれから資金を調達してるか?)を表します。


自己資本について返済期限はないですが、他人資本(負債総額)は返済期限があるというところが大きく違います。


さらに、他人資本(負債総額)は流動負債と固定負債から構成されます。


流動負債は、買掛債務(工事未払金、買掛金、支払手形)と短期有利子負債(短期借入金、割引手形、裏書手形、短期リース債務など1年以内に返済義務のあるもの)が二本柱です。


固定負債は長期有利子負債、長期未払金、長期リース債務などです。

有利子負債とは利子を支払わなければならない債務のことです。

ここで、x 2負債回転期間を短期的に改善することは可能なのかみていきましょう。


一番インパクトがあるのは、借入金、つまり短期借入金(短期有利子負債)と長期借入金(長期有利子負債)を減らすことになるでしょう。


借入金を減らしていくことについては具体的に、例えば保険積立金を崩して借入金の返済に充てるとか、固定資産を整理し処分できるものは換金して借入金の返済に充てる、定期預金など固定性の預金を解約して借入金の返済に充てる、出資者を募るなど増資をし得た資金で借入金の返済に充てること等々です。


ちなみに、これらは上手に金融機関とコミュニケーションを取りながらやっていかないと、金融機関側としては繰り上げ返済されることを嫌いますし、定期預金も解約されたくはないでしょうから、自社の経審における戦略上どうしても必要な対応であるなど丁寧に説明していくことが大事になってきますね。


(Y点)x1純支払利息比率について解説した記事においても上と同様の内容を説明しましたが、一点、今回のx 2負債回転期間との違いを説明しておきます。


x1純支払利息比率のケースは、支払利息を小さくするために間接的に借入金を減らすというお話しをしました。


借入金が減る分、利息の支払いも減るからです。(もちろん、直接的に支払利息を小さくしていくことについても別で述べております。)


ただし、決算期末に向けて借入金を減らして当期の貸借対照表 (長短)借入金の数字を小さくすることができたとしても、既に発生した支払利息は当期の損益計算書には残ってしまいます。

(翌期からの支払利息の数字には影響してくることになるでしょうし、もちろん期首等に借入金を減らせば該当期の支払利息を減らすことはできますが。)


なので、x1純支払利息比率のケースでは翌期からの支払利息を減らすために間接的に中長期的に借入金を減らしていく手法について述べましたが、今回のx 2負債回転期間については短期的なY点の改善策として該当する決算期の数字に反映させることができますね


ただし、これらは簡単なお話しではなく、金融機関との日頃からの上手なコミュニケーションによる良好な関係性がないのに先走ってしまいますと、金融機関との信頼関係に悪影響を与えることにもなりかねませんので慎重な対応が必要です。


次に、売上高を短期的に大きくすることはできないか?ですが、こちらは特に中小建設会社にとってはあまり関係してくるお話しではありません。


少しだけ述べさせていただきますと、ここでの売上高は完成工事高のことではなく、会社全体としての売上、つまり、完成工事高+兼業売上高のことを指します。


中小建設会社の完成工事高については工事の完成引き渡し時に計上する工事完成基準の採用がほとんどですが、「収益認識に関する会計基準」(これまでは「工事契約に関する会計基準」に則った工事進行基準)を適用した方が当該期の売上積み増し計上に繋がるなら、そうすることによるデメリットと併せて顧問税理士と相談し検討してみても良いかもしれません。
 

 
x2負債回転期間 中長期的改善メソッド
 

 中長期的に負債総額(流動負債+固定負債)を減らしていくには、どうすればいいのでしょうか?


上述の短期改善メソッドと同じ内容になりますが、借入金を出来るだけ減らしていくこと、が一番インパクトは大きいでしょう。


しかし、御社が借入金を減らす方針をとるにしても、短期で一気にやるのではなく、金融機関と上手に調整しながら中長期的に徐々に進めていくことがベターではあります。


(Y点)x1純支払利息比率について の記事でも私の考えは少し述べさせていただきましたが、貸借対照表(B/S)は経営者の考え、方針が映し出されると言われたりもしますが、貸借対照表 負債の部の借入金の数字をどれくらいの大きさにしていくかは、正に社長の経営判断次第だと思います。


会社の未来について、どんな会社にしていきたいか、将来の売上推移やどれくらい利益をあげていきたいか、経審の評点をどのようにしてどんな公共工事を受注していきたいかなど経営戦略をしっかりイメージできていれば、今どのくらい銀行から融資を受けるべきか、そして何に投資をするべきか等々も明確になります。


そのような会社の方針、社長の想いが反映されたものが貸借対照表(B/S)なのだろうと思います。


前の記事でも申し上げましたが、私個人の考えとしては会社によって置かれている経営環境はそれぞれ違いますので一概には言えませんが、経審が関係ない会社であるなら出来得る限り複数の金融機関から融資を受けて現預金を最大限確保しておくことをお勧めしますが、経審を受ける建設会社にとっては非常に悩ましい問題ではあります。


昨今のコロナ禍など本当に先の読めない複雑な世の中ですから、できるだけ多くの現預金ストックはあった方が良いですし、出来れば複数の金融機関と常日頃から信頼関係を築き、いざというときにスピーディーに対応してもらえるような関係性を作ることが大事なのだろうと思います。


なので、経審を受ける特に中小建設会社に関しては、借入金を中長期的に減らしていくという方針をとるにしても、受注したい公共工事の格付けに必要な経審評点を眺めながら、会社の置かれている経営環境を見極めながら、上手に金融機関とお付き合いしていくという具合に難しい判断になることでしょう。


次に、売上高を中長期的に増やしていくことについては、特筆すべきことはほとんどありません。


他の評価指標との兼ね合いもありますので、利益を無視していたずらに売上を取りに行っても経審トータルとしては良くはありませんし、適正な利益率の工事をこつこつと積み重ねていくしかないですよね。


既存のお客様には引き続き御贔屓にしていただくことを心掛けること、新規のお客様の開拓を頑張ること、関連するサービスの提供等で追加の売上をあげていくこと、施工技術や施工管理能力を粛々と磨き続けること等など、建設業だけではなくどの業界でも共通している話しのように思います。
 

経審(Y点)x2負債回転期間  学んだついでにもう一歩!

 折角、経審 経営状況分析Y点の財務指標の理解をするのですから、ここではもう一歩踏み込んでいただいて、いくつかx 2負債回転期間と何かしら関係する財務分析指標のご紹介をさせていただきます。


少しでも御社の経営管理に役立てていただければ幸いです。

1つ目は、有利子負債回転期間(月)=(短期有利子負債+長期有利子負債)/月商です。

借入金依存度を測定する指標です。


x 2負債回転期間の式の分子 負債総額から(長短)借入金に焦点を当てて、もっと純粋な企業の倒産リスクを測る指標です。


有利子負債の返済資金は(式の分母の)売上で賄われることが多いので、この回転期間が短いほど借入金の返済能力が高く財務状態は健全だという評価になります。


(実際に借入金の返済は売上から各種コストを差し引いた利益から支払われます。なので、この指標はその会社の各種売上利益率と併せて総合的に評価した方が良いですね。)


一般的には借入金を月商の3か月以内に抑えることが安全、6か月を超えてくると危険だと判断されることが多いようです。


ただし、実質無借金経営(現預金-有利子負債=プラス)という前提にはなりますが、有利子負債回転期間について、もう少し判断基準を緩めても良いのではないかと個人的には思います。


もちろん、経審の評点と相談しながらにはなりますが、昨今のように何が起こるか読めない時代なので借入金による現預金ストックはこれまで以上に重要になってくるでしょう。



2つ目は、買掛債務回転期間(月)=買掛債務/月商 です。

買掛債務は、買掛金、工事未払金(材料費や外注費の未払金)、支払手形です。

この指標は買掛債務を支払うのに、何か月分の売上が必要であったかを示します。


買掛債務は数か月以内に決済しなければならない債務ですが、その数か月間は資金を留めておくことができますので、借入金と似た性質、資金調達効果をもたらします。


買掛金や支払手形のサイトの長期化は資金繰りの改善になりますが、支払期間が長い➡仕入れ値が高くなるという風になり得るので注意が必要です。


買掛債務回転期間は、売掛債権回転期間とのバランスから、資金繰り状況を総合的に判断することにも使われます。


買掛債務回転期間の長期化と売掛債権回転期間の短期化は資金繰りを好転させますが、買掛債務回転期間の短期化と売掛債権回転期間の長期化は資金繰り悪化の原因となります。


これら指標を時系列に並べてみて、両指標の差に急変があったときは、注意深くみていきましょう。


自社の資金繰りによるものなのか、売掛債権管理・在庫管理の不徹底や仕入のまずさによるもの等など原因を確認して適切な対応をとりましょう。


これら財務分析指標は自社指標の時系列分析や、競合他社やベンチマーク(目標値)、業界平均数値などと比較分析することで実態をつかみ経営判断の参考としていきます。
 

(Y点)x2負債回転期間のまとめ

 x 2負債回転期間は負債月商倍率と呼ばれたりもします。


負債総額(=流動負債+固定負債)が平均月商の何倍(何か月分)あるかをみて資金繰りの安定度合を測ります。


数字が小さいほど、評価は上がります。


改善するためにこの指標をを小さくするには、分母の月商(売上高)を大きくするか、分子の負債総額を小さくするかです(もちろん、両方まとめてやれれば尚良しです)。


売上を上げることはそう簡単ではありませんし、不確実性が伴います。


なので、負債総額の数字を小さくする方が確実性は高いですし、そうするためには資金を何かしら生み出さなければなりません。


具体的には上で述べましたが、資産を減らす、増資をする等で資金を生み出し負債の返済にあてていくしかありません。


以上になりますが、まだx 2負債回転期間の自社の数値に改善の余地があるのなら、こちらに挙げたような対応を検討してみてください。


もちろん、何度も繰り返しますが、金融機関とのお付き合いは経営上とても重要なので、その点はくれぐれも慎重に進めてもらえればと思います。



※こちらの記事は2022年5月の記事になります。経審における評価指標の内容等は随時変更されていきますので、ご自身で最新の内容の確認をするようにお願い致します。また、経営状況分析Y点の8指標もそうですし、経審P点総合評定値のX1 X2 Z W点もそうですが、各評価指標は他の評価指標と互いに影響を与え合うことがありますので、1指標だけでなくP点総合評定値全体でどういう結論になるのか意識しながら各評価指標の対応を検討していきましょう。

 

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